当研究室は、もともと摂食行動や性行動における認知のプロセスについての研究を続け、食欲認知や異性パートナー選択のための統合的認知機構の解明をめざしてきました。脳というのは内界と外界の情報を調節し、環境に応じた適切な行動ができる素晴らしいシステムです。しかし近年では肥満や摂食障害、あるいは少子化や生殖障害が問題となっているように、個体維持や種族保存の機能がおかしくなってきています。そこで私たちは研究のもう一つの軸として、脳と環境との相互作用に着目し、一方では増え続ける“環境ホルモン”などの人工的な化学物質、他方では都市化で減り続けている植物が出す“緑の香り”、これら環境化学因子の脳への影響を調べています。 |