「粟生道場」道場主 高次脳機能講座 認知神経科学 教授 医学博士 粟生修司
 
〈研究事例〉環境ホルモンや植物が、脳に及ぼす影響とは?
当研究室は、もともと摂食行動や性行動における認知のプロセスについての研究を続け、食欲認知や異性パートナー選択のための統合的認知機構の解明をめざしてきました。脳というのは内界と外界の情報を調節し、環境に応じた適切な行動ができる素晴らしいシステムです。しかし近年では肥満や摂食障害、あるいは少子化や生殖障害が問題となっているように、個体維持や種族保存の機能がおかしくなってきています。そこで私たちは研究のもう一つの軸として、脳と環境との相互作用に着目し、一方では増え続ける“環境ホルモン”などの人工的な化学物質、他方では都市化で減り続けている植物が出す“緑の香り”、これら環境化学因子の脳への影響を調べています。

〈出稽古パッケージ〉まるごと動物を用いた行動神経科学 行動と脳の神経活動を、システム的に理解する。
この出稽古では、まるごと動物を使って、情動、学習、動機づけ行動などの脳の高次機能を解析する神経科学的な研究法を学んでもらいます。たとえば、麻酔下のラットの脳に電極を刺して、さまざまな感覚刺激を与えて脳の神経活動を記録する実験によって、感覚刺激を受け取ってから運動出力をするまでのトータルな神経活動を生で観察することができます。現在、デバイスなどに応用されている脳の機能はほんの一部で、脳にはまだまだ無尽蔵のヒントがあります。ネズミの脳は小指の先ほどの大きさですが、この中に複雑な素子がコンパクトにまとまって、高度な機能を発揮しているんだということを実感し、脳と行動のシステム的理解を深めてほしいと思います。

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