視覚についての研究は、脳生理学、心理学、数理モデルなどの分野が関連しあって解明が進んでいますが、当研究室では心理学的なアプローチに重点を置いています。たとえば、心理学の視覚実験でよく取り上げられる「錯視」は、同じものを見ているのに、場合によって神経回路の活動が異なる状態に収束するため、脳の解釈が分かれる現象です。こうした「錯視」の現象も、人間の視覚のメカニズムを推測し、理解する上で大きな手がかりとなります。視覚認識の研究で得られた知識と技術は、脳の損傷による視覚障害の緩和など医療の分野で活用されているほか、ロボットが未だ不得意としている認識や判断に関わる情報処理システムへの応用が期待されています。 |