過去の修論・卒論

2020年度

大規模関係データの高速な積多様体モデリング:ランドマーク近似を用いた教師なしカーネル回帰

マルチタスク多様体モデリングの解くべき問題はなにか? ~直積潜在空間と関数空間のアプローチ~

積多様体モデリングによる定常テンソル過程の解析法: 幼児の集団行動データへの応用

関係データの積多様体モデリングとトピック分解による可視化

教師なしカーネル回帰を用いたファッションコーディネート検索システム

2019年度

同型的行動に着目した幼児の社会性発達に関する行動解析

チーム編成支援のためのチームとパフォーマンスの可視化法

関係データの直積空間への埋め込みによる可視化

Content Style Disentanglement Autoencoder through Optimal Transportation

2018年度

情報欠落へのロバスト性に基づく教師なし学習のメトリック学習法

二重階層テンソルSOMによるマルチチーム解析

2017年度

確率分布に拡張したTensor SOMによる文書トピックの可視化

関係データの可視化法としてTensor SOMがあります.Tensor SOMはユーザーと商品の関係データが与えられた時にユーザーの類似関係,商品の類似関係,ユーザーと商品の関係を可視化できるので商品推薦や新商品の販売戦略など幅広い応用ができます.本研究ではTensor SOMを文書データに適用できるようにアルゴリズムを拡張することでより幅広いデータを解析できるように一般化しました.本手法を組み合わせることでコミュニケーション解析やネットワーク構造を持ったテンソルデータを解析する際の基盤技術になります.

Tensor SOMによるKWMデータ解析 ~KW伝達と生徒状態変化の可視化~

教育現場では生徒の学習履歴の収集・分析を通して生徒の学習状態の把握や教師の授業改善を目的とした学習支援が行われています.本学では支援システムの1つとしてKey Words Meeting (KWM)が用いられており授業のキーワードを設定しその伝達度を測ることで生徒の学習状態の把握と教師に授業後のフィードバックを行います.本研究ではKWMとTensor SOMというデータ可視化技術を組み合わせて,授業後の生徒の学習状態を可視化することで生徒自身が自分の習熟度を理解することを支援し,教師の授業改善に繋げられるシステムを目指しました.

階層化Tensor SOMによるマルチグループ解析

データを解析する際にはデータ1つ1つを見るよりも集団ごとにまとめて解析した方が有効な場合があります.例えばスポーツチームの分析や企業内の社内分析ではチームごとや部署ごとに解析した方がデータ全体を俯瞰できます.複数の集団を解析する場合は集団ごとのメンバーの特徴を損なうことなく集団の特徴づけを行うことが重要になります.本研究ではTensor SOMを階層的に組み合わせることでメンバー個人の特徴を損なうことなく集団単位の解析が可能な手法を開発しました.SUSHI Preferenceデータセットを使って異なる年齢・性別に分けられた回答者グループの特徴と各グループに共通する特徴を可視化できることを示しました. (階層化Tensor SOMを用いた寿司データの解析)

高階自己組織化写像によるスタイル集合のモデリング

データから意味のある表現を得ることをスタイル/コンテンツ分離と言います.研究では高階自己組織化写像を用いて人の表情画像や歩行モーションデータなどの人物情報から人物に共通する特徴と固有の特徴を表すスタイルの分離を行いスタイル集合のモデリングを行いました.これによって様々な人物の個性を他の人物のスタイルへ適用できるので人物のモーフィング,動作の分類,人物認識など幅広い応用が考えられます.

非負カーネル平滑化による多様体モデリング ~高速かつロバストな教師なし学習をめざして~

機械学習を意思決定に活用するためには,機械学習手法がもたらした結果の信頼性をいかに担保するかが重大な課題となります.従って手法の望ましい性質としては,悪意のあるユーザが意図的に結果を改変しにくいこと,結果の再現性の高いことが挙げられます.本研究では機械学習の中でも多様体モデリングと呼ばれる枠組みにおいて,ユーザの事前チューニングが不要で再現性の高い手法を実現するためにはどのようなアプローチが有効か考察しています.その結果,近年の主流派であるニューラルネットやガウス過程といったアプローチよりも,カーネル回帰という古典的なアプローチの方が適しているのではないかという可能性が示唆されました.

2016年度

Tensor SOM Networkと情報伝播

複数の関係データが一部の解析対象を共有して繋がっているデータを複合関係データと言います.本研究では関係データの可視化法であるTensor SOMをネットワークのように繋げることで複合関係データを解析・可視化できるアルゴリズムを開発しました.確率伝搬法を使って「ユーザーと音楽の関係データ」と「ユーザーと本の関係データ」という複合関係データがある時に音楽から本の好みを可視化するなどデータとして直接与えられていない情報を得ることができます.

2015年度

複雑複雑なネットワーク構造を持つテンソルデータの同時解析

今日では多変量データやテンソルデータなど多種多様なデータが蓄積されデータ同士がネットワークのように複雑な構造を持つことがあります.例えばECサイトではユーザーがどの商品を買ったかという購買履歴のデータや商品を購入したユーザーの年齢,職業などのユーザーの属性情報,商品の補助情報などのデータがあり,これらはネットワーク構造を持ったテンソルデータとして統一的に考えることができます.本研究ではネットワーク構造を持ったテンソルデータを可視化し,複雑なデータ構造を俯瞰できるアルゴリズムを開発しました.視覚的な解析を行うことでデータの特徴をわかりやすく表現できるのでデータマイニングの面においても有用です.

Tensor SOMによる人間関係解析

人はコミュニケーションをとる相手によって自分の役割を変えていると考えられます.例えば会社で部下と話す時は上司という役割を持って接したり,家に帰り子供と話す時は親という役割を持ってコミュニケーションを行っています.本研究では,コミュニケーションの内容から個人の役割とコミュニティ内の人間関係の可視化するアルゴリズムを開発しました.電子メールデータを用いて社内の人間関係や役職などの役割を可視化を行いました.人とのコミュニケーションを理解するための基盤技術になると考えています.

2014年度

メタモデル学習は脳に存在しうるか ~興奮伝播場による情報の転送と結合~

メタモデル学習というのは,個々の経験から学んだ知識を統合して普遍的な法則性やコツを発見する学習のことです.本修論では神経細胞の数理モデルを用いてメタモデル学習アルゴリズムの実装を試みました.その結果,神経活動の興奮伝播現象や同期現象を利用することで実現できることがわかりました.これらの現象は実際に脳でも観察されており,その機能的な意義を示唆するものです.
※ IEEE CISJ Young Researcher Award 受賞,ひびきの賞最優秀修論賞受賞

生成位相写像による非線形テンソル分解の実現

多次元配列を数学ではテンソルと呼びます.テンソルはビッグデータや知能情報処理など複雑な構造を持つデータにしばしば現れます.この修論では,古川研究室で開発したTensor SOMのアルゴリズムを変分ベイズ法に基づいて再導出する研究を行いました.テンソルデータ解析の理論的な研究は,多様で複雑な構造を持つデータ解析に応用していく上で重要な基礎研究になります.

関係データの欠損に対するTensor SOMのアルゴリズム

この修論では,欠損のある関係データをTensor SOMで分析する方法を開発しました.関係データの典型例がオンラインショッピングにおけるユーザー-商品評価データです.すべてのユーザーが全部の商品について回答するわけではないので,この種のデータは多くの欠損値を含みます.本修論で提案したアルゴリズムにより,欠損値があっても安定した分析と高い欠損値推定能力が実現できました.これによりマーケティング分析や推薦システム構築など幅広い応用の可能性ができました.

2013年度

視点の違いを表現する自己組織化マップ ~ヘテロな関係データの解析法~

ふつうのデータ解析では観測対象を知ることが目的です.たとえば入学試験では受験生の学力を知ることが目的です.しかし,観測データは観察者の視点を知る手がかりにもなります.ちょうど入学試験からその大学がほしい人材像が見えてくるように.この修論では,複数の観測データから観測対象の固有情報と観測者の視点情報に分離するアルゴリズムを開発しました.この研究は,人間同士が互いに観察することを通して他者や自己を理解する状況へ発展させる基礎となります.

形状空間法を用いた火星航空機翼型の分析

本研究室から生まれた技術のひとつに形状空間法があります.形状空間法は物体の形状そのものを情報処理の対象にできる方法で,デザイン分類や形状最適化問題などの幅広い応用が期待できます.この修論では,形状空間法を火星探査の航空機設計に応用しました.火星は地球と大気環境が異なるため,地球用の飛行機で培った設計ノウハウが使えません.本修論により,翼設計上で重要なポイントを示すことができました (この修論ではJAXA宇宙科学研究所・大山聖先生よりデータをいただきました).

CCA-SOMの開発 ~教師なし学習における適切なMetric推定と2種類の観測データ間の共通因子の推定~

人間は視覚・聴覚など複数の感覚器官を統合して外界の情報を知ります.また異なるモダリティの情報を統合することは,観測対象の正しい知識を得る上でも重要です.しかしながら,異なるデータをどのように統合するのか,統合できる部分とできない部分をどう見分けるのかは誰も教えてくれません.本修論では,教師なし学習である自己組織化マップ (SOM) において,データのメトリックも教師なしで推定し,複数の入力情報から共通する因子を推定するアルゴリズムを開発しました.この問題は教師なし学習において不可避で,自己組織的アルゴリズムを多方面に応用する際の重要な基盤技術になります.

Tensor SOMによるMovieLens datasetの解析

Tensor SOMの情報推薦システムとしての可能性を示した研究です.MovieLensは映画タイトルに対する回答者のアンケート評価データです.Tensor SOMで分析することで,どのような性別や年代の回答者がどのような映画を好むかを可視化することができました.