CB2は,赤ちゃんの発達過程を構成論的に調べるためのプラットフォームとして開発された全身52自由度を有する空気圧駆動ヒューマノイドロボットです. 作動流体である空気の圧縮性により,各関節に柔軟性があるため,特別な制御を行うことなく,ヒトとの物理的なインタラクションを安全に実現することができます. 下の動画はヒトがロボットを引き起こして立たせるインタラクションです.一見複雑な運動ですが,実は,各関節のPID角度フィードバック制御系に対し,目標値を2回切り替えるという簡単な制御によって実現できています. 非常に単純な制御ですが,ロボットの関節の柔軟性によって,ロボットの動作は引き起こす人間の動きにあわせて変化し,安全性にとどまらない適応性を有することを確認しました.
前述の物理的なヒト-ロボット間インタラクションにおいて,ヒトとロボットの運動は,双方が互いから受ける力によって変化します. つまり,この間のヒトとロボットの運動は,互いに他方が欠けては実現できない運動になっています. この研究では,「この密なインタラクションの結果として生じているヒトとロボットの運動を,インタラクション相手であるヒトの要望に合うようなインタラクションになるように ロボットの運動を変化させるにはどのようにすれば良いのか?」という問題に取り組んでいます. その一つの手法として,私たちが提案するHuman-in-the-Loop学習では,インタラクション相手である人間が直前のインタラクションを「良い・悪い」の二値で評価し, ロボットが「良い」と判定されたデータを低次元化・確率モデル化することで,次のインタラクションにおける制御則を変化させ,インタラクション全体を変化させていきます. 非常に複雑な物理的インタラクションを扱うため,残念ながらこの学習システムが収束することを証明,あるいは十分に直感的に説明することは出来ませんが, 多数の被験者実験を通じてこの学習システムの妥当性を示しています. また,「引き起こし」にとどまらず「ヒトがロボットを補助しつつロボットが歩く」という物理的インタラクションにおいても適用可能であることを示しました.
© Copyrights Shuhei Ikemoto. All Rights Reserved