2004年2月5日
「海馬神経回路網モデルにおける時間的順序を表現する神経細胞集団の形成」
○吉田 基治、林 初男
九州工業大学 情報工学研究科 情報システム専攻

最近の研究で、海馬が時系列の記憶に重要な部位であることが明らかにされつつある。ラットの場所細胞の活動もラットが移動する場所の時系列に深く関連していることが知られており、ラットが場所A、B、C、Dを順にたどるルートを学習すると、ラットが場所Aにいるとき、場所細胞A、B、C、Dがθリズムの1周期内で順に発火することが知られている。本研究では、発火タイミング依存性シナプス可塑性(STDP)によって、海馬CA3領域の時空間活動が形成され、それを利用して、場所の順序がA→B→C→Dであるときに特異的に反応する錐体細胞集団が、CA1領域に自己組織的に形成されることを海馬モデルで検証した。

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2004年1月15日
「ホルムアルデヒド経気道曝露と海馬神経細胞-マウスを用いた実験」
○笛田 由紀子
産業医科大学 産業保健学部 第一生体情報学講座

産業医科大学産業保健学部では化学物質曝露の中枢神経系への影響を調べております。前回は、フロン代替物質のひとつである1-ブロモプロパン経気道曝露の海馬機能への影響をお話しました。1-ブロモプロパンを慢性的に吸入した時、その影響が行動に顕著にあらわれなくても海馬機能は確実に影響を受けているというラットの実験結果に驚いたかたもおられるでしょう。今回は、化学物質過敏症やシックハウスなどで問題になっている揮発性有機化合物ホルムアルデヒドの海馬機能への影響について話題を提供いたします。化学物質過敏症やシックハウスの問題はマスコミで取り上げられてきましたので聞き覚えがあるかと思いますが、病態については診断基準が定まっておらず、原因機構についても、仮説はたくさんありますがきちんと証明されているとはいえません。現在、厚生労働省や環境省ではそれぞれ研究班をつくって臨床と実験動物モデルの両方から検討を重ねています。われわれは、環境省の委託研究で実験を続けてきました。化学物質過敏症とシックハウスはどうちがうのかという素朴な疑問に対して、歴史的な背景と問題点を簡単にお話しします。その後、実験動物モデルをつくる目的で、われわれの研究グループがホルムアルデヒド曝露マウスを用いて調べてきた海馬の電気生理学的および神経化学的実験結果についてお話しする予定です。われわれの実験では、シックハウスで問題になるような空気中のホルムアルデヒド濃度で、マウス海馬神経細胞機能が影響をうけているのですが、残念ながら記憶学習といった高次機能への影響はまだ明確になっていません。このプロジェクトには、現在、生命体工学の夏目季代久先生、粟生修司先生、東北大薬学研究科の福永浩司先生に御協力いただいております。生命体工学の大学院生のみなさんにも興味を持っていただき、独創的なアイデアで参画していただければと希望しております。

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2004年1月8日
「雑音によって引き起こされる同期現象に関するレビュー」
○林 初男
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 脳情報専攻

ニューラルシステムでは、ニューロン活動の同期現象がいろいろな場面で観測され、脳の情報処理機能にとって重要な役割を果たしていると考えられている。このようなシステムとしては、ニューロンが互いに強く結合されたシステム、弱く結合されたシステム、および結合されていないシステムが存在するが、いずれのシステムでも構成要素の活動の同期現象が観測される。また、現実のシステムでは、構成要素はまったく同一ではなくばらつきがあるし、システム自体が雑音を発生し、雑音を含む環境にもさらされている。
 強く結合されたシステムが同期現象を示すことは想像するに難しくないが、結合されていないシステムやばらつきのあるシステムの同期現象を想像することは簡単でない。また、信号と同レベルの雑音にさらされているシステムの同期現象も理解しにくい。過去10年間で、これらを非線形力学系の現象として理解できるようになってきた。しかし、まだ発展途上の研究領域である。
 本セミナーでは、以上のような雑音で引き起こされる同期現象(Noise-Induced Synchronization)についてレビューする。

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2003年12月11日
「人間の奥行き知覚における異方性と個人差に関する心理物理学的研究」
○佐藤 雅之
北九州市立大学 国際環境工学部 情報メディア工学科

人間の両眼視差による奥行きの知覚には異方性があると言われている。一般に、垂直方向の視差勾配(上に行くほど遠い、あるいは近い)に比べて、水平方向の視差勾配(右に行くほど遠い、あるいは近い)に対する感度は低いとされている。しかし、両眼視差による奥行き知覚には大きな個人差があると考えられ、異方性に関しても、その程度や原因についての詳細は明らかではない。ここでは、奥行き知覚の異方性の程度や個人差の分布を明らかにするために、約30名の被験者に対して、奥行きのコーンスウィート錯視と対比効果の大きさを測定した。実験の結果から、これまでに報告されているのと同様の異方性が確認されたが、その程度が刺激のパターンに依存することが明らかになった。これは、奥行き知覚の異方性が、これまで考えられてきたように両眼視差処理機構の異方性によるのではなく、パースペクティブなどの単眼性の奥行き手がかりによって生じている可能性を示している。

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2003年12月4日
「V1における色彩情報表現の変換」
○花沢 明俊
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 脳情報専攻

色彩情報は網膜におけるLMS3錐体の応答比が出発点であり、全ての色彩は3錐体の応答を軸とした3次元空間内の1点として表現できる(3色表現)。しかし、我々の色彩知覚は、色の明るさ(輝度)、色の鮮やかさ(彩度)、色の種類(色相)の3種類の変数による記述が最も自然である(色相彩度表現)。このことは、色彩の情報表現に関して一種の座標変換が脳内で行われていることを示唆している。また、補色知覚などと関係する、赤と緑、青と黄色および明るさの3軸からなる反対色表現が3色表現と色相彩度表現の間に存在することが心理学的知見から示唆されている。これら色彩情報表現に関する一連の座標変換過程について調べるために、注視課題遂行中のマカクサル外側膝状体小細胞層および第1次視覚野の神経細胞から単一神経細胞の視覚応答を記録し、その色選択性を比較した。色の異なった等輝度の視覚刺激に対する細胞の応答を記録し、その色選択性が錐体信号の線形和に対応するか否かを、線形性を仮定したモデルとの適合度によって評価した。外側膝状体では、色選択性を持つ細胞のほとんどが線形モデルとの高い適合度を示した。また、これらの細胞では応答変調が錐体空間のL-M錐体変調軸、S錐体変調軸に沿ったもののみであった。色相、彩度に対する選択性を持つ細胞は存在しなかった。一方、V1には特定の色相、彩度にのみ応答し、錐体信号の線形和では説明できない応答を示すものが存在した。錐体信号の線形和に対応する応答を示した細胞も存在したが、外側膝状体ではその応答の変調方向が限られていたのに対し、V1では様々な方向の応答変調が見られた。この結果は、色相・彩度による色彩座標系への変換がV1で行われていることを示している。ニューラルネットワークを用いたシュミレーションの結果、錐体応答を入力とし、色相・彩度に選択性を示す出力を学習させると、中間層にはV1で見られた錐体空間内で様々な変調方向を持つ細胞が得られたことから、このような応答は色相彩度表現を形成するための中間段階と考えられる。

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2003年11月6日
「ラット海馬縦断面方向の特徴」
○中島 孔志(1)、石塚 智(2)、林 初男(2)
(1)九州工業大学 情報科学センター (2)九州工業大学 大学院生命体工学研究科 脳情報専攻

海馬はきれいな層構造をなし、横断面スライスには海馬の主要な領域である歯状回、CA3、CA1とそれらを結合する3シナプス回路が含まれる。そのために海馬横断面スライスは多くの研究者によってシナプス可塑性などの様々な性質が明らかにされている。一方、海馬の縦断面方向の特徴についてはほとんどわかっていない。海馬が情報処理を行なうとき長軸方向の相互作用も大きく関与していると考えられる。我々は時空活動を観測可能なマルチ電極システムを開発し、それを用いて海馬縦断面方向のシナプス可塑性や同期電場電位リズムの局所性を明らかにしてきた。今回はこれらの結果を報告し、海馬縦断面方向の特徴についてまとめる。

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2003年9月11日
「海馬β波の周波数を変化させる要因とシナプス長期増強」
夏目 季代久
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 脳情報専攻

脳内では、δ、α、γ、β波等様々な脳波が観察され、視覚認識、記憶情報処理との関係が推察されている。特に、海馬スライスにアセチルコリン様の薬物であるカルバコールを投与すると、θ、β、γ波が出現する事が明らかになっている。これらの脳波は振動周波数で区別されているが、これらの周波数変化に関しては研究されていない。本研究では、これらの脳波のうち、特に、ベータ波に着目し、その振動周波数を変化させる要因に関して調べた。また、さらに、記憶情報処理の神経基礎過程であるシナプス長期増強(LTP)が、脳波周波数を変化させる可能性がある事を示唆する結果を得たので報告する。実際には、ラット脳より得られた海馬スライスにカルバコールを投与すると、β振動(スライスにおけるβ波をそのように名づけた)が誘導されるが、このβ振動周波数に対する抑制性シナプス、NMDA受容体の関与を調べた。結果、GABA(A)受容体の阻害薬であるビキュキュリン(BIC)を投与すると、β振動周波数は、BICの濃度依存的に減少した。その時、振幅は、U字型の変化を示した。また、NMDA受容体阻害薬であるAPVを投与すると、周波数は増加した。また、θバースト刺激によって、海馬CA3領域にLTPを誘導すると、LTPが生じた後、遅れて約30分後に振動周波数の減少が起こった。以上の結果は、脳波β波の振動周波数は、抑制シナプスや興奮性シナプスによって調節されている可能性があり、さらに記憶の過程で変化する可能性を示唆している。

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2003年8月7日
「マウス軟口蓋味蕾細胞の興奮性に関する電気生理学的研究」
野口 智弘
九州工業大学 大学院情報工学研究科 情報科学専攻

味蕾細胞は、舌、軟口蓋、咽頭などに分布し、50個から100個集まって味蕾を形成する。舌味蕾細胞の味情報変換では活動電位が本質的な役割を担っていると考えられている。しかし、軟口蓋味蕾細胞については興奮性の有無など、基礎的な電気的性質が未知であった。本研究ではパッチクランプ法を用いて、軟口蓋味蕾細胞に発現している各種イオンチャネルについて調べ、味覚受容における活動電位の役割を検討した。

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2003年7月10日
「昆虫神経分泌細胞系の神経生理学的研究 -カイコガの休眠ホルモン分泌細胞を中心に-」
市川敏夫
九大院・理・生物科学

昆虫神経分泌細胞の動態解析によって、神経分泌に関わるいろいろなことが明らかにされつつある。本セミナーではカイコガの休眠ホルモン分泌細胞を中心に、最近の成果を紹介する。
カイコガの卵休眠を誘導する休眠ホルモン(DH)は4種のペプチドと同じ遺伝子上にコードされている。このDH遺伝子を発現する細胞は食道下神経節に3群あり、それぞれanterior, medial, posterior cellsと呼ばれている。本研究では、休眠卵産生予定蛹(D蛹)および非休眠卵産生予定蛹(ND蛹)を用いて、これら3群の神経分泌細胞の電気的活動を蛹期間中連続記録し、活動パターンを比較検討した。3群の細胞群のうち、P細胞群でのみD蛹とND蛹で有意な差があり、D蛹では全蛹期間に亘って中頻度の発火活動が観察されたが、ND蛹では蛹の後期または終期にのみ高頻度の発火活動が観察された。AM細胞群はD蛹、ND蛹とも全蛹期間中、発火活動が観察され、有意差はなかった。以上の実験結果は、AM細胞群とP細胞群は異なるpost-translational processing mechanismをもち、異なる種類あるいは組合せの神経ペプチドを分泌していることを示唆している。

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2003年7月3日
「動物の衝突回避行動とその神経機構」
中川秀樹
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 脳情報専攻

衝突物体を回避する行動は動物が自然界で生き残っていくうえで、なくてはならない能力です。この能力は移動ロボットの開発など様々な分野でも必要不可欠なもので、本研究科にも動物のこの能力を模倣して有用なハードウェアを作成しようとされている先生方もおられます。個人的には、私はこの行動発現のメカニズムそのものを明らかにすることに大きな関心を持っており、応用研究に新しいアイデアを提供できればと考えています。このセミナーでは、まず、動物が行う衝突回避行動とはどのようなものか、またその際、動物はいかなる戦略を用いるのかを概説した後、それらの戦略が脳の中の衝突情報符号化神経によってどの様に実現されているのかを、最も良く研究がすすんでいるハトとバッタを例にして紹介したいと思います。最後に、カエルの衝突回避行動を対象に、これまで手付かずであった神経回路レベルの研究に取り組んでいる、我々の研究室の試みについて簡単にご紹介するとともに、適切な神経機構の理解のためには必要不可欠な行動実験による入出力特性の解析結果についてお話します。

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2003年6月12日
「生物とロボットのナビゲーション」
石川 眞澄
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 脳情報専攻

海馬の場所細胞の研究が盛んに行われており、他方ロボットのナビゲーション研究も数多くなされている。両者の接点である海馬の場所細胞モデルやこれをロボットに応用する研究も進行中である。このようにナビゲーションは生物にとってもロボットにとっても興味深い分野である。これらの研究概要を紹介するとともに、ロボットナビゲーションのための強化学習に関する研究を紹介する。最後に、場所細胞、強化学習、自己組織化学習などを統合した脳型ロボット研究について考察したい。

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2003年6月5日
「遅延のある側抑制ニューラルネットワークモデルの双安定性」
立野 勝巳
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 脳情報専攻

帰還回路を持つニューロンや側抑制ニューラルネットワークは、リズム生成回路として知られています。また、同時に二つ以上の安定振動(多安定状態)を持つことが可能です。ここでは、ペースメーカニューロンを含む側抑制回路モデルのリズムのスイッチング特性に関して報告いたします。この側抑制ニューラルネットワークは、双安定状態(周期1と周期4)と多安定状態(周期1、周期3、カオス)を示し、遅延時間(シナプス遅延、および伝播遅延)が長くなるにしたがって、そのパラメタ領域が小さくなります。外部からの刺激入力によりリズムを切替えることも可能です。また、双安定状態にあるリズムの安定性を、位相反応曲線を用いて明らかにしました。

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2003年5月22日
「“みどりの香り”の研究-Allelopathy-Pheromone-Phytonchideの学際的基礎研究」
畑中 顯和
山口大学名誉教授

1957年から:□ 緑葉から放れる所謂、“みどりの香り”は青葉アルール、青葉アルデヒドをはじめとする炭素数6コの飽和・不飽和アルコールおよびアルデヒド8成分(C6グループ)、果実・野菜のそれは少量のC6グループにスミレ葉アルデヒド、キウリアルコールを含むC9 のそれ8成分を加えた16成分から成る複合の香りである事を明らかにし、□ この香りはストレスに応答し各々の成分の濃度比を色々変え、植物-昆虫-微生物の三者系に於いて情報伝達や免疫・防御手段(アレロパシー-フェロモン-フィトンチッド)として用いていること、□ 生合成は緑葉が外界からのストレスを受けると葉緑体膜を構成する中性脂肪、リン脂質、糖脂質の加水分解によりリノレン酸・リノール酸を生成、次いで過酸化・開裂を経ていることを実証した。□ 生合成に関与する酵素を含めた発現のメカニズムや、それらの酵素の単離精製・構造確認・基質特異性をはじめ酵素―基質複合体反応の動的解明、□ みどりの香りの生成活性の年間変化と気温・日照量・光合成活性相関、□ 新茶の香りの生成メカニズムの発見と青葉アルコールの生成動向の相関、一方、□ 青葉アルコールをナトリウムと還流すると柑橘様の良い香りを放つ物質、芳香族化合物をえるこの珍しい芳香環化の反応の発見・構造決定・反応メカニズムの解明により、この反応を特に、『青葉アルコール反応』と命名するなど、有機化学・植物生理・生化学・分子生物学の学際的分野から200余の研究業績と20数編の著書を公表した*。

次いで、1994年から: 新たに、みどりの香りとヒトの生理、アロマコロジーの研究領域を加え; □ 『みどりの香りのC6,C9グループの全異性体の合成とその官能相関』、 □ 『みどりの香りの化学構造と感応・快適性相関』、 □ 『食品関連菌; 大腸菌、O-157、黄色ブドウ球菌、その薬剤耐性菌(MRSA)、サルモネラ菌への殺菌作用』では抗生物質の10―100倍という高い殺菌作用を呈することを発見した。疲労感の分子神経メカニズムとその防御に関する総合的研究では □『みどりの香りとストレス後のACTH動態および体温相関』、□ 『みどりの香りに感応する脳機能イメージング』などの先端的研究成果を公表、更に、□ 『みどりの香りの嗅覚受容体,cDNAの単離とリガンド特性の解析』により副嗅球周辺までの情報がえられ、また、『みどりの香りがストレスや疲労の回復を促進』することを発見、この現象が視床下部室傍核で、自律神経系・T4細胞中の免疫系のコントロールを伴って、Fos様タンパクの発現の抑制に因ることなど、アロマコロジーの学際領域への研究業績が実っている。

この研究は1933年恩師 故武居の『緑茶の香りの研究』・『青葉アルコールの研究』から候補者が継ぎ、今日、世界で唯一の『みどりの香りの研究』に育ったノーブルな研究である。そして、今なお、ヒト属を含めた全生態系でのみどりの香りの謎を追って発展し続けているロマン溢れる研究である。

参考)
主 な 論 文
  1. Uber das Vorkommen des trans-Isomeren im naturlichen Blatteralkohol; Z.Naturforsch., 15(b), 415 (1960).
  2. Formation of cis-3-hexenal,trans-2-hexenal and cis-3-hexenol in macerated Thea sinensis leaves; Phytochemistry., 12(10), 2341-2346 (1973).
  3. Distribution of an enzyme system producing cis-3-hexenaland n-hexanal from linolenic and linoleic acids in some plants; Phytochemistry, 17(4), 869-872 (1978).
  4. Participation and properties of lipoxygenase and hydroperoxid lyase in volatile C6-aldehyde formation from C18-unsaturated fatty acids in isolated tea chloroplasts; Plant & Cell Physiol., 23(1), 91-99 (1982).
  5. Odor-structure relationships in n-hexenols and n-hexenals; Z.Natur-forsch.,47(c), 183-189 (1992).
  6. Green-leaf-derived C6 aroma compounds with potent antibacterical action that act both on gram-negative and gram-psitive bacteria; J. Agric. Food Chem.,50(12), 7639-7644 (2002).
  7. Concentration effects of green odor on event-related potential (300) and pleasantness; Chem. Senses, 27(12), 225-230 (2002).
主 な 著 作・総 説
  1. 「みどりの香りー青葉アルコールの秘密」;中公新書, pp.1-230(1988).
  2. Biosynthesis of so-called “green odor”emitted by green leave; Compre- hensive natural products chemistry, Vol.1, Chap.4, pp.83-116, Elsevier (1999).
  3. みどりの香りの生理作用と効果、Aroma Research, No.1, 41-54 (2001)

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2003年5月8日
「近接細胞外記録と標識物電気泳動により明らかにされた海馬parvalbumin含有・GABA作動性ニューロンの電気生理学的解析と全体像 」
石塚 智
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 脳情報専攻

in vivo jutacellular labeling法を紹介する。この方法は、細胞に障害を与えることなく単一ニューロンの自発活動を記録し、ニューロンの大きく広がった樹状突起や軸索の全体像を標識することが可能である。我々は、マウス海馬のGABA作動性ニューロンのうちカルシウム結合蛋白であるparvalbuminを持つニューロンの電気生理学的特性(自発活動)と大きく広がった樹状突起や軸索の全体像を明らかにした。

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2003年4月17日
Energy signals regulates learning and memory function: effects of orexin
「内界エネルギー信号が学習記憶などの高次脳機能を調節する:オレキシンの学習調節作用」
粟生 修司
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 脳情報専攻

The effects of orexin-A on the performance of Wistar rats during the Morris water maze test and the long-term potentiation in Schaffer collateral/commissural-CA1 synapses in hippocampal slices wre examined. The results of the Morris water maze test show that 1.0 and 10 nmol of orexin-A, when administered intracerebroventricularly, retarded both spatial learning and memory. A probe test also showed an impairment. The open-field test did not show any remarkable abnormality in either the motor activity and/or emotionality. The results of an electrophysiological study using hippocampal slices demonstrated that 1.0 to 30 nM of orexin-A applied to the perfusate produces a dose-dependent and time dependent suppression of the long-term potentiation that was not affected by 6-cyano-7-nitroquinoxaline-2,3-dione, CNQX, which is a non-NMDA receptor antagonist, thereby implicating NMDA receptors. These results show that orexin-A impairs spatial and these impairments can be attributed to a suppression of long-term potentiation in the Schaffer collateral-CA1 hippocampal synapses.

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2003年4月10日
Hierarchical Decomposition of Multifocal Visual Evoked Potential Responses to Dichoptic Contrast Reversing and Temporally Sparse Stimuli
T. Maddess, A.C. James, R. Ruseckaite, E. Bowman
Centre for Visual Sciences, Research School of Biological Sciences, Australian National University, Canberra, ACT 0200

Purpose: We compared multifocal responses obtained to conventional Contrast Reversing (CR) and temporally sparse ternary stimuli. A Hierarchical Decomposition[1] (HD) allowed the responses to be decomposed into components in feed-forward and feed back relationships, permitting the HD components to be characterised as being more related to cortical inputs or to cortical processing. Methods: Stimuli containing 8 cortically scaled checkerboards/eye were presented dichoptically at 50.5 frames/eye/s. For CR stimuli each region had contrast -1 or 1 with probability 1/2. For the sparse stimuli the contrasts are {-1, 0, 1}, where 0 indicates a blank region at the mean luminance, and the transient stimuli were delivered to each region at 6 stimuli/eye/s. Data are presented for 92 eyes. The HD method computes Principal Components (PC) and then effects a linear transformation that satisfies an autoregressive (AR) model. The AR model indicates how much the HD components contribute to themselves, or other the components, at several temporal lags, thus characterising feed -forward and -back relationships. We also examined the effects of varying the temporal sparseness of the multifocal stimuli, and also of changing their contrast. Results: HD models were computed for each of the 16 stimulus regions, and using a 95% c.l., AR models having 2 lags (10 ms each) were routinely fitted. The proportion of variance accounted for was higher for sparse stimuli, reflecting the better SNRs obtained for sparse (5.32 ± 0.84) vs. CR (3.31 ± 0.53se) stimuli in the 46 subjects. HD analysis showed that the first component provided substantial hierarchical drive to the higher components but little feedback was apparent. A multiple regression model indicated that peak (N1) responses to the monocular Sparse16 stimulus were 4.47 times larger (13.0 dB ± 0.54 SE) than for the conventional CR stimulus. For dichoptic presentation Sparse16 responses were 6.23 times larger, binocular suppression being greatest for the Binary stimulus (-4.17 dB ± 0.54 SE). About half the responses to Sparse16 stimuli exceeded 6 SE. Consideration of the signal to noise ratios (SNRs) indicated that to achieve a given level of reliability CR monocular stimulation would require 1.37 times longer trials than Sparse16 stimuli. Recording time for dichoptically presented CR stimuli would be 3.49 times longer. The contrast dependence was summarised by simultaneously fitting a power law for each stimulus type, such that R =MCZ, binocular suprresion acted at higher contrasts. Conclusions: Transiently presented stimuli delivered at rate at or less than 6 Hz provide marked increases in response size and SNR, particularly for dichoptic presentation. In the dichoptic case the recording time improvement is between 2.4 and 3.5 times. The hierarchical relationships found indicated that the first component is most likely influenced by cortical input. The ratio of hierarchical / direct drives was greatest in nasal and inferior visual fields (p=0.05). Superior-peripheral regions had the weakest responses, however, and so were more difficult to characterise. From the perspective of multifocal VEPs as a tool for perimetry the better SNR indicates that sparse stimuli would require about 2.6 × less recording time to achieve the same level of accuracy. The mean recording time here of 3.97 min, was equal for both stimulus conditions.
[1]Repucci MA et al. (2001) Ann Biomed Eng 29:1135-1149.