2005年2月10日
"Area 21a: Functional architecture, oblique effect and feedback influence to areas 17 and 18 in the cat’s visual cortex"
Louxiu Huang, Xin Chen, Chao Sun and ○Tiande Shou
Vision Research Laboratory, Center for Brain Sci. Res.
Fudan University, Shanghai 200433, China

Using intrinsic signal optical imaging and electrophysiological single unit recording methods neurons in cortical area 21a in the cat’s visual pathway, which is corresponding to V4 in the monkey, were found to be organized in a columnar manner according to similarity of their orientation preference like neurons in areas 17 and 18. This functional architecture provided a neural basis of psychological “oblique effect”, which is a phenomenon showing that visual ability in horizontal and vertical meridians is better than that in oblique meridians.
The overall feedback effect of higher-order area 21a on lower-order areas 17 and 18 was found to be excitatory and spatial frequency-dependent when tested with inactivating of area 21a by GABA or lesion by liquid nitrogen.


復旦大学の由来は、"日月光華, 旦復旦兮"(尚書大傳.虞夏傳)だそうです。

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2005年2月3日
"Brain-like robot based on neural networks and development algorithm"
○Liming Zhang
Image & Intelligent Lab, Fudan University, Shanghai, China

Two-stage learning model (supervised and unsupervised learning) is proposed according to biological experiment results in vision. A brian-like robot based on neural networks is constructed to confirm the two-stage learning model. In the unsupervised stage a sensory mapping is used for features extraction. The receiptive field can form in the first stage. In the second stage the cognitive mapping can develop the knowledge by supervised learning. The beginning results show that the idea is efficient.

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2004年12月9日
「ウルトラディアンホルモン分泌リズムの形成機構」
○市川敏夫
九州大学大学院理学研究院

多くのホルモン分泌系で観察されるリズミック(間欠的)なホルモン分泌パターンは最も効率的な分泌パターンであり、間欠的にホルモンが作用することでホルモン受容体の感受性の低下が防止できるからと考えられている。このようなホルモン分泌リズム形成機構のモデルのひとつに、個々の振動子が結合したcoupled multi-oscillator systemがある。カイコガの脳にはボンビキシンと呼ばれるインスリン族ホルモンを分泌する細胞が8個存在する。蛹の個々のボンビキシン分泌細胞は20-70分の固有の振動周期をもち、互いに弱く結合してマルチオシレーターシステムを形成している。さらに、この分泌細胞群は外部(リセット)信号として心臓活動リズム調節系から60-100分周期の抑制的信号を受け、位相が調節されている。今回、その心臓活動調節系との結合がある場合とない場合のボンビキシン分泌細胞群の活動リズムの相互相関および位相の解析を行った。通常、1個の細胞の活動リズムは他の2,3個の細胞のリズムと強い相互相関があり、心臓調節系との結合がある場合では、相関のピークはすべて同位相(inphase)の範囲内にあった。一方、心臓調節系との結合がない場合では、同位相のペアに加え、逆位相(antiphase)の強い相互相関を示すペアがしばしば見られた。以上の結果から、分泌細胞群内の結合機構のみでは、同位相と逆位相の同調状態のクラスターが形成されてしまうが、外部信号によるリセット機構が働くことによって逆位相同調状態が抑制され、全体的にはほぼ同位相同調状態が優勢なクラスターの集合体が形成されていると考えられる。

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2004年11月11日
「海馬スライスにおけるてんかん波とシナプス可塑的変化」
○夏目季代久
脳情報専攻 神経情報処理講座

海馬で観察される神経リズムは,海馬神経回路内の分子内ネットワーク(インタラクトーム)と密接に関わっている。シナプス長期増強(LTP)に関わっているLTPインタラクトームは、シナプス後細胞にあるNMDA受容体と、細胞内Ca 2+ /カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII (CaMKⅡ)からなる。我々は、モルモット海馬スライスに、GABAA阻害薬であるBicucullineを投与する事により生じるてんかん波(BIED)に対するLTPインタラクトームの効果について調べた。NMDA受容体の阻害薬であるAPVを投与すると、BIEDの周期は不規則になり、そのBIEDの平均出現頻度も減少した。一方、CaMKII阻害薬であるKN-93、KN-62の投与により、BIEDは規則的に出現し、また周波数は減少した。従って、LTPインタラクトームがBIEDの出現周波数を調節していると考えられる。実際、BIEDによって、NMDA受容体及びCaMKII依存性のLTPが誘導され、そのLTPの大きさを減少させると、BIED周波数は減少した。以上の結果より、LTPインタラクトームは、BIED発生中に活性化し、BIED発生周波数を調節していると考えられる。

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2004年11月2日
「視蓋第8層細胞体の空間的自己相関解析により明らかになったカラム様構造とその機能的意義についての考察」
○中川秀樹
脳情報専攻 神経情報処理講座 行動発現機構研究室

カエルの視蓋には、実に明瞭な視覚世界の2次元地図が存在する。これは網膜視蓋投射地図と呼ばれ、多くの研究者の関心を集めてきた。この地図は、空間を広く一様に表現していることから、その中には、例えば、コンピュータのピクセルに相当するような単位構造が存在していると期待される。本発表では、視覚中枢の単位構造とその機能を明らかにしていく第一歩として、比較的まばらに細胞体が分布する視蓋第8層の神経細胞の分布に空間的自己相関解析を適用することでその構造の規則性を研究した結果を報告し、あわせて、単位構造の機能的意義について考察する。

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2004年10月14日
「ランダムシナプス入力による歯状回モデルの帯域フィルタ特性」
○立野勝巳、中村彰一、橋本高宏、林初男、石塚智
脳情報専攻 神経情報処理講座

海馬歯状回は嗅内皮質で発生したてんかんバースト放電の伝播を阻害する。一方、シータリズムによく応答することが報告されている。シータリズムはラットの空間記憶に関連することが報告されているので、歯状回は海馬で記憶する重要な情報を選別している可能性が考えられる。そこで、本研究では歯状回ネットワークモデルを構築し、シータリズム選択機構を提案する。

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2004年10月7日
「カオス的な刺激はてんかん様バースト頻度を効率よく増加する」
○石塚 智
高次脳機能講座 学習記憶機構分野

海馬CA3神経回路網は、CA3領域に単シナプス投射している苔状線維をテタナス刺激すると、錐体細胞間の同期化により自律的なてんかん様バースト放電をする。この状態のとき、苔状線維を異なる時間パターンを持つパルス列で刺激すると、CA3バースト放電の頻度は刺激時間パターンに依存して増強及び抑圧される。これらの結果は、刺激の時間パターンの相違がシナプス伝達効率の違いを生み出すことを示唆している。

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2004年9月9日
「サルの食欲と性欲の中枢機構」
○粟生 修司
高次脳機能講座 認知神経科学分野

サルは視覚情報だけで食物や非食物あるいは雄ザルと雌ザルを見分けることができる。雌ザルだけでなく、雄ザルが発情期か非発情期かの判別も視覚情報だけで可能である。しかし、実際の食物選択や異性選択では嗅覚やその他の情報も重要な役割をはたしており、それらが統合されて、異性選択から性行動に至る行動が制御される。雄ザルの性中枢は他の哺乳類と同じく内側視索前野にあり、性的覚醒レベルに応じた特徴的活動を示す。雌ザルの性中枢は満腹中枢でもある視床下部腹内側核にあり、プレゼンティングに一致した興奮活動を示す。雄では視床下部背内側核がマウンティングやラスティングに一致する興奮活動を示す。食欲と性欲の相互依存的な中枢戦略について考察する。

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2004年7月8日
「生体膜の水透過性の動的測定法」
○緒方 惟昭
産業医科大学

I developed a simple and negligibly-invasive method for characterizing the relative turgor pressure, P, of a single plant cell (Characean internode) as a function of time. The theoretical temporal resolution is 100 msec. The transverse walls of one end of a cylindrical cell are gently supported between a flat glass plate and a glass hook. The former is connected to the core of an ordinary magnetic audio-speaker, through which a constant sinusoidal mechanical change is passed, and the latter is connected to a strain gauge. P can then be estimated by measuring the amplitude of the strain, Sn, which occurs in response to the sinusoidal change in stress generated between the plate and the hook "a dynamic measurement". The relative velocity of water flow, v, across the plasma membrane at the onset of a step change in πe can be measured from the time dependency of P. The relative water permeability, Pw, can also be estimated in relation both to v and to the water motive force across the membrane,Δπ; Pw =v/Δπ. Pw was measured after either increasing or decreasing Δπ from a holding level. No significant differences were found between the velocities within 5 sec of the onset of increased or decreased shifts in Δπ. These results strongly suggest that there is no difference in Pw of influx and efflux. Further, it was also shown that Pw was independent of the holding water potential. This suggest that dehydration is not responsible for Pw .

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2004年7月1日
"Gap junctions among taste bud cells in mouse fungiform papillae"
○吉井 清哲
九州工業大学大学院 生命体工学研究科 脳情報専攻

我々は、すでにマウス味蕾細胞間には、ギャップ結合があることを発見している。 ギャップ結合の物質および情報の通路としての機能を解説し、このギャプ結合を構成 しているタンパク質、コネキシンのサブタイプについて報告する。

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2004年5月13日
「ノルエピネフリントランスポーターにおける基礎及び臨床研究からの新しい抗うつ薬の開発に向けて」
○柳原 延章 その他
産業医科大学 薬理学 精神医学

近年、うつ病等における精神疾患治療薬の開発は著しいものがあり、選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (SSRI)等の新しい治療薬が臨床の場でも使用されている。一方、ヒトの全遺伝子の解読が終わり、その遺伝(ゲノム)情報の薬理学研究への応用が期待されている。すなわちうつ病等の精神疾患と関連する特定な蛋白質の同定やそれがコードする蛋白質の機能の解明は、新しい治療薬の開発にとって重要である。また最近、特定遺伝子の欠損マウスが精力的に作成され、それらの行動解析から当初予想もされなかった精神疾患モデルマウスも生まれている。そこで、今回このような観点からゲノム情報を薬理学研究に生かし、うつ病治療薬の作用機序の解明や新しい治療薬開発のための手がかりとなることを期待して、基礎及び臨床研究を開始した。
[English]

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2004年4月8日
「カエルのイスミ核-視蓋投射の機能:両眼視と”winner-take-all”」
○松本 修文
九州工業大学大学院 生命体工学研究科 脳情報専攻

カエルの中脳被蓋に位置するイスミ核は、同側視蓋からのみ入力を受け、同側視蓋全域および対側視蓋の前方約1/3に投射する。イスミ核-視蓋投射の機能を明らかにするため、イスミ核刺激による視蓋の電場電位を記録し、電流源密度解析を行うとともに、細胞内記録を行った。
電流源密度解析によると、イスミ核は、対側視蓋には浅層と深層に2種類の繊維群を送っていた。一方、同側視蓋には唯一の繊維群を深層に送っていた。
視蓋には、対側網膜からの直接の入力と、同側網膜-対側視蓋-対側イスミ核を経た2つの経路の入力がある。イスミ核から対側視蓋の表層に投射する繊維は、網膜神経節細胞のR1/R2に類似した性質を持ち、網膜から直接投射するR1/R2繊維と同じ細胞に結合することがわかった。すなわち、R1/R2は両眼視を構成する。しかし、深層に投射する繊維は、網膜から直接投射するR3/R4繊維とは別の種類の細胞に投射し、両眼視を構成していないことがわかった。これらの結果は、カエルの行動を矛盾なく説明する。すなわち、R1/R2のうち特にR2が関与する餌獲り行動では、必ず餌を両眼視の領域でとらえる「定位」行動が起こるが、R3/R4が関与する逃避行動では、片眼視でできるだけ速く逃避する。
電流源密度解析では抑制は検出されないこと、解剖学的には、同側視蓋への投射は視蓋のすべての層にわたっていることが報告されていることから、同側投射は視蓋を強く抑制していると考えられる。実際、同側視蓋投射を細胞内記録で調べた結果、約70%の細胞で潜時の短いIPSPが観測され、強い抑制があることがわかった。興奮性の繊維は受容野中心のみに結合し、周辺の強い抑制により、winner-take-allを実現している可能性がある。