「吉井道場」道場主 神経情報処理講座 感覚受容機構 教授 薬学博士 吉井清哲
 
〈研究事例〉“舌の上の微小な脳”その相互作用を追って。
私たちが味を感じるのは、食物に含まれる化学物質が舌の味蕾細胞に作用して、その信号が脳に伝達されるからですが、約40〜50個の細胞集団である味蕾細胞のうち、脳に情報を送るためのシナプスを持っているのは3個ほどです。たとえば、甘いとか苦いといった味を感じる受容体がある味蕾細胞はシナプスを持っていません。ではなぜ甘いとか苦いといった感覚が脳に送り出されるのか? 50個ほどの細胞が集まっているということは、細胞間に何らかの相互作用があると考えられますが、当研究室では現在、この細胞間のネットワークを解明しようとしています。将来的には、味蕾の構造を応用した新しいタイプの味覚センサの開発につなげたいと考えています。

〈出稽古パッケージ〉RT-PCR法および免疫染色法実習 生命をつくる“部品”の取り扱い方を学ぶ。
近年、遺伝子に対する理解が急速に進み、私たちの体をつくっているタンパク質の設計図が解明されている状態です。生命科学と情報科学を融合した“バイオインフォマティクス”という言葉がありますが、複雑で多様な生命のメカニズムを解明するためには、遺伝子やタンパク質など、いわば生命の部品を理解し、取り扱う方法が必要となります。この出稽古ではRNAを特定する技術である「RT-PCR法」と、実際に発現した特定のタンパク質を確認する方法である「免疫染色法」を実習します。分子生物学や免疫学の膨大な体系のほんの一部を覗いてもらい、実際のタンパク質、DNAやRNAとはこういうものかということを感じてもらいたいと思っています。

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