「石塚道場」道場主 高次脳機能講座 学習記憶機構 助教授 学術博士 石塚 智
 
〈研究事例〉海馬と対話するように、電気信号の流れを読む。
私たちが外界から受け取る感覚情報は、脳の大脳皮質から海馬へと送られますが、その際にすべてが記憶されるわけではなく、記憶する情報を選択したり、情報を関連づけて覚えたりします。そこで、海馬のこのような情報処理がいかにして実現されるのかを、電気信号の流れとニューロンの接続状態に着目して解明しようとしています。具体的には、ラットの脳から生きた状態の海馬スライスを切り出して、パルスの速さや組み合わせを変えたさまざまな電気信号を人工的に作ってニューロンに流し、どんなパターンの信号が通りやすいか、どのような応答をするかを調べる実験を行っています。また、そのニューロンを染色して細胞間連絡も調べています。

〈出稽古パッケージ〉脳スライス標本における電気生理学的測定 生体での信号のリレーを実感してみよう。
ラットの脳から生きた状態の海馬標本をつくり、電気刺激を加えて電位を測定する実験を行い、基礎的な電気生理学の実験技術を習得してもらいます。工学系の学生は、たぶん教科書やシミュレーションでしか信号を知らないと思いますが、実際に自分の手で生体を刺激して、電気信号がどう出て、次々にどう伝わっていくかということを実際に体験して、神経を流れる電気信号についてもっと身近に感じてほしいと考えています。また、いい標本をつくるためには、日頃から実験動物をきちんと飼育管理することが大切です。実験では生物の命を絶つことになるので、本演習ではその死が無駄にならないよう掃除や飼育などの準備もしっかりと行ってもらいます。

道場紹介のトップへ戻る


▲ページの先頭へ