生物の感覚器には、物理的・化学的刺激を認識する受容細胞が存在しています。私の研究室では受容細胞が化学物質をどのように認識して生体情報に変換しているのか、「化学物質と細胞の相互作用」に着目して、遺伝子の発現から細胞集団の機能解析までの包括的な研究を行っています。たとえば、50個ほどの細胞ネットワークを形成する味蕾(みらい)で絶えず細胞の入れ替わりが生じているにもかかわらず、どうやって安定的な味覚情報の処理がなされているのか、あるいは緊張やリラックスといった精神状態の違いによって味情報が変化するしくみなどを解明しようとしています。こうした研究の成果をもとに新しい信号処理システムの開発をめざしています。 |