一般講演1
Chronic inactivity increases the fraction of fast burst vesicle pool at hippocampus synapse
○ 桂林秀太郎
崇城大学薬学部薬理学研究室
中枢神経回路において、ニューロンは連動的かつ機能的にバランスを維持しながら情報を伝導・伝達し、シナプスを強化する。
例えば、フグ毒(TTX)を用いて神経活動を長期的に抑制すると、シナプス前神経終末部は伝達物質放出の回復機能を発揮する(負のフィードバック)。
しかし、その可塑的変化のメカニズムは不明である。今回、マウス海馬の自己投射型培養細胞(Autapse cultured single neuron)を用い、
神経活動長期抑制後のシナプス小胞動態を電気生理学的に解析した。結果、迅速に放出されるシナプス小胞群(Readily releasable pool, RRP)
の大きさは不変であったが、RRP内にある放出確率の高いシナプス小胞の割合は増加した。
これに伴い伝達物質(グルタミン酸)の放出量は増加したが、Ca2+感受性は不変であった。
加えて、シナプス小胞関連蛋白Synaptotagmin-1をノックアウトしたAutapse cultured single neuron
では上記現象は発現しなかった。以上より、シナプス小胞の動態変化(vesicle localization)
による伝達物質放出量の調節は、シナプスにおける情報伝達の効率化および神経回路強化に重要と考えられる。