2021 etm team 3

2021 etm team 3

代表挨拶

近い将来、日本は3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上の超高齢化社会を迎えます。高齢者のみの世帯も増えていく中、医療の現場では病院ではなく、住み慣れた自宅で療養できる体制を整える動きが加速しています。病気になっても居心地のいい空間で暮らしたいと願うことはごく自然なことです。そしてその生活を支えてくれるのが訪問看護ステーションの看護職の皆さんです。訪問看護師さんの仕事を支援することが、理学療法士(Physical therapist)、エンジニア(Engineer)、看護師(Nurse)のメンバーで結成されたチーム「PENコラボレーションズ」の目的です。

所属員紹介

  • 代表     間山 一枝(九州工業大学大学院 生命体工学研究科 社会人大学院生,在宅看護センターReir 看護師)
  • 現地調査担当 野崎 仁美(在宅看護センターReir所長 看護師)
  • 開発担当   安川 真輔(九州工業大学大学院 生命体工学研究科 教育職員)
  • 文献調査担当 原田 智世(在宅看護センターReir 看護師)
  • リーダー 資料作成担当 小栁 泰亮(在宅看護センターReir 理学療法士)

PJ概略

長期膀胱留置カテーテル利用者に対して、自動ミルキング装置の使用でカテーテル内の沈着や閉塞を予防し、訪問看護師のオンコール回数減少、身体的精神的負担を軽減することを目的とした事業。

進捗状況

現場へのヒアリング、看護系文献などの検索を通して、現状調査を行った。方法は2つの案があり、今後装置の試作品を作り、動作確認、原理検証を行なっていく予定である。

企画のまとめ

はじめに

チームコラボレーションズは、医療専門職(看護師、理学療法士)とエンジニアによって構成されたチームである。    本チームは、訪問看護の現場で日々患者さんのケアに当たっている看護スタッフのアイデアから生まれた「自動ミルキング装置」に取り組んでいる。

自動ミルキング装置とは

自動ミルキング装置は、主に排尿が困難な患者さんが使用している、膀胱留置カテーテル(膀胱にカテーテルを挿入して、尿を体外に排出させる医療機器)のカテーテル(管)部分に直接設置して、カテーテルを圧迫してしごくことによって内容物を流動させる働きをする自動装置である。訪問看護の現場におけるこの装置の役割は、カテーテルの閉塞を防ぎ、常に尿の排出をスムーズにすることである。

なぜこの装置が必要なのか?

膀胱留置カテーテルの閉塞の実態について、2012年から2020年の研究論文の調査を行った結果、訪問看護ステーションの現場では、カテーテルの閉塞による緊急対応が約6割発生していたことや、膀胱留置カテーテルを使用している患者さんの約半数がカテーテルの閉塞を経験していたことがわかった。また、国の調査では、緊急対応の時間帯は夜間や早朝などに発生しているケースが約40%に上っており、この装置を使うことは、患者さんの苦痛の軽減のみならず、看護スタッフの時間外の緊急対応による負担を軽減することにもつながることが期待できると考える。

装置製作の進捗状況

装置案2つの原理検証を行い、どちらか1つの試作機を作成する。試作機は福岡市や北九州市の訪問看護ステーションに協力を依頼して年内に試運転を行い、来年の販売に向けて準備を行っていく予定である。

さいごに

日本の高齢化率が今後も上昇していく中で、訪問看護への期待は今まで以上に高まっていく。この装置を実用化し、訪問看護現場で利用できることは、在宅療養中の患者さん、そして患者さんや家族を支えている看護スタッフへの支援の一助になると考えている。

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