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九州工業大学大学院 生命体工学研究科

お問い合わせはotsubo@brain.kyutech.ac.jp

〒808-0196 北九州市若松区ひびきの2-4

研究紹介Research

研究概要

 生物が進化の過程で獲得した生体構造や生理機能を解明し正しく理解することは、既存工学システムとは異なる視点での概念提供を可能にします。
 研究室では「化学物質と細胞の相互作用」に着目し、生体が生体外環境に存在する化学物質をどのように認識し、生体情報に変換しているのかを遺伝子の発現から細胞ネットワークまで包括的に研究しています。生体構造や機能を理解することで、生体感覚器官に学んだ化学センサ開発のための神経生理学的な基盤研究を行っています。

味物質受容機構の研究

 哺乳類の味覚器である味蕾は、種類が異なる細胞が約50の細胞ネットワークを形成することで安定した味覚受容を可能にしています。これら細胞集団の一部の細胞が味物質受容体を発現し、味物質を受容し生体情報に変換後、味神経へ情報を伝達します。また細胞間の情報伝達も存在すると考えられていて、複雑な情報処理が行われているようです。私たちは、味蕾細胞の電気的な性質(味応答や電流特性)と細胞の種類の関係性を明確にしながら、味物質受容機構について研究しています。複雑な処理機構の解明には、分子生物学的、電気生理学的研究のみでは限界があるため、数理モデルの研究者、立野研究室、と共同で研究を進めています。
 

中枢神経系における化学情報の処理機構に関する研究

 感覚器で検出された化学情報は、中枢神経系へ伝達され処理されます。感覚器官で生成された情報(味情報)の中枢への入り口である延髄孤束核からin vivo測定を行い、味情報の処理機構について研究します。具体的には、舌へ味刺激を行い、孤束核神経に生じるシナプス応答特性を明らかにし、味蕾での味蕾細胞ネットワークが味情報処理に果たす役割を明らかにします。また、味蕾細胞ネットワークの数理モデルに、孤束核から得られる神経応答を組込み、味蕾細胞ネットワークによる味情報処理を統合的視点から捉える数理モデルを構築します。本研究は、国の研究機関である生理学研究所および立野研究室との共同で進めていきます。
本研究は、平成28年度 生理学研究所共同利用研究(一般共同研究)に採択されました。
 

味情報修飾機構に関する研究

 味覚は、色彩やテクスチャといった物理的状態の違いだけではなく、緊張やリラックスといった精神的状態の違いや体調によっても変化します。このような味覚変化は、各感覚情報が統合・処理される脳で生じますが、味蕾から脳へ送られる味情報が変化することで生じている可能性もあります。私たちは、味蕾細胞に発現する各種伝達物質受容体と味応答(味情報)の関係を研究しています。

成長や老化に伴う味覚器の構造および機能変化

 我々の食の嗜好は年齢とともに変化すると考えられています。例えば、子供時代はケーキや飴など甘いものを好んで摂食し、成人になると、ビールやコーヒーといった苦いものも好むようになります。味蕾から脳へ送られる味情報の質や量が年齢によって変化するのであれば、その変化は味の嗜好に影響を与えるのかもしれません。加齢による味覚器の構造や機能変化について研究しています。
 

iPS細胞由来興奮性細胞の電気生理学的特性

 ヒトiPS細胞由来神経細胞の電位依存性チャネルや神経伝達物質受容体の電気生理学的特徴を調べています。iPS由来神経細胞のイオンチャネルの特徴を定量化し、細胞株の均一性を機能面で評価することで、ハイスループット細胞アッセイ系に適したiPS由来細胞株の探索をおこなっています。創薬スクリーニングや薬品安全性確認のための神経生理学的な基盤研究をおこなっています。
 

栄養素欠乏による味覚器の変化

 病気、薬の副作用、過度の偏食やストレスは、味覚障害を引き起こします。味覚障害患者の一番多い原因は、食事性亜鉛欠乏性障害で、患者の三分の一を占めています。私たちは、管理栄養学部の先生と共同で、亜鉛欠乏食を摂取したマウスを用いて、味蕾にどのような構造的機能的変化が生じているのかを定量的に研究しています。
 

その他

  • 味蕾免疫染色画像の自動解析システム開発(共同研究)
  • 味蕾細胞-味神経間情報伝達機構研究のための標本開発

Otsubo lab九州工業大学大学院 生命体工学研究科 大坪研究室

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