マテリアル知能を駆使してAIに挑戦しよう!
物質をとことんまで小さくしていくと、物の性質はどんどん変化していきます。たとえば金は手に取るような大きさなら金色、だけど薄くなって数十nmになると何色になるでしょう。答えはだんだん青みがかかってきます。つまりナノデバイスを作製することにより、マクロ(手に取れるほど大きい)状態では考えもつかなかった性質が出てきます。
とくに電気デバイスでは外部の揺らぎをもろに受けゆらぎます。また性質を同じにしようとしても構造などの少しの違いが大きく物性に影響してしまいます。
田中研究室では、その様なゆらぎや違いをうまく利用して新しいタイプのデバイスを作製しようとしています。たとえば生物は揺らぎやノイズをうまく利用して、計算をしています。人間の脳はスーパーコンピュータ並みの計算をたった30Wでこなしています。我々はそれを材料の機能をうまく抽出して再現しようとしています。うまく選ぶとまるで材料に知能があるようにふるまいます。我々はそれを「マテリアル知能」と呼んでいます。マテリアル知能を駆使して、超省エネルギーコンピュータが実現されると、今の電力問題なんてあっという間に吹き飛んでいくでしょう。
以上の目標に向かって、田中研究室ではナノマテリアルサイエンスをベースにAIナノデバイスの非平衡・ゆらぎに注目して生体信号を再現するデバイスの作製を目指しています。将来的にはそれらが脳型コンピューティングに活かされると期待しています。
大きく分けて、①マテリアルAIデバイスを用いた音声認識や画像認識、②ナノカーボンネットワーク素子を用いた脳型挙動の研究、③シナプス挙動をする光応答原子スイッチを用いた人工網膜化です。
さあ君も生物がうまくこなしている世界を自分のサンプルで作ってみませんか?