九州工業大学 大学院生命体工学研究科 人間知能システム工学専攻 人間機能代行システム研究室

English

入学志望者や研究に興味をお持ちの皆様へ

1. 研究室の目的

 障害をお持ちのかたの、失われた感覚機能や運動機能を代行・補助するための何らかの装置を開発することです。

2. 研究の方法

 一般に、何らかの装置を開発するためには、設計図や仕様書を作る必要があります。私たちが考えている装置も同じことで、設計図を作ることが研究の目的となります。障害をお持ちのかたと、障害を持っていない人の特性を比較し、足らない部分を補うような方法を考え、その有効性を確かめる。有効性が確かめられれば、設計図あるいは仕様書が完成します。後は、製品化してくれる企業を探すことになります。

3. 学生の教育

 修士の目標は、「与えられたテーマに関し、自分で実験を組み立て、結果を解析・考察し、まとめること」です。
 博士の目標は、「自分でテーマを設定し、実験・解析・考察・まとめること」までを自分でおこなうことです。
 私の研究室では、上記に加え、修士にも、研究テーマを考えさせています。これはとても難しいことだと思います。自分で考えるためには、様々なことを調べ理解する必要があります。仮にテーマを考えられなくても、この経験は後々役に立つと思っています。
 学際的な研究分野ですので、入学以前の背景知識はそれほど重要ではありません。必要な知識は、入学後に勉強すれば済むことです。何か他人の役にたつものを作りたい、とか、ヒトに対する知的好奇心といった、「あついこころ」を持っていれば、十分研究活動をおこなっていくことができます。過去に、あまり理系の知識のない理学療法士(歩行訓練をおこなう訓練士)が社会人学生で入学し、きちんと修了しています。
 私の研究室では、電子工学や情報工学的な勉強をするだけでなく、人間工学的な勉強、ヒトの生理学・心理学・解剖学的な勉強もおこないます。ですので、社会に出て、ヒトと接する製品開発をおこなう際には、有利になるでしょう。

4. 研究室の雰囲気

 私が記すと、いいことしか書いていないように思われるかもしれませんが、学生は和気藹々と研究活動をおこなっているように思います。誰かが困っていると周りが助けることもよくあるようです。でも、詳しいことは、学生に直接尋ねて頂いた方がよいでしょう。
 研究室での飲み会はちょくちょくあります。4月の新人歓迎、7月のビアガーデン、秋の飲み会、12月の忘年会、3月の追いコン、などです。なお、お酒は楽しく飲むものですので、不快になる一気飲みをさせません(お酒を飲めない人でもご安心を)。

5. 学生の研究生活

  • 修士1年:前半は講義聴講とテーマ決定、夏休み中にはインターンシップ。後半は講義聴講と研究。
  • 修士2年:夏までに、中間発表会。就職する場合は、就職活動。他の時間は、研究活動に専念。秋から修了までに二回程度、学会や研究会で発表する。2月~3月頃には修論提出と修論発表会。3月末には修了式。
  • 博士課程:年1回程度、国際学会で発表。学位取得までに、2報程度の学術論文が必要。

6. 発表学会

 毎年ではありませんが、下記のところで発表しています。

  • ヒューマンインタフェースシンポジウム(9月頃)
  • VR学会大会(9月頃)
  • 感覚代行シンポジウム(12月頃)
  • 電子情報通信学会 福祉情報工学研究会(年4回程度開催)
  • 人間工学会 九州支部会(11月頃)
  • 計測自動制御学会 九州支部会(12月頃)
  • SICE(計測自動制御学会の国際大会)(夏から秋頃)

7. 設備

 大型の計測装置としては、下記のものがあります。

  • 簡易型モーションキャプチャシステム:ノビテック社、カメラ6台
  • 磁気式三次元位置計測装置:ポヒマス社、Fastrak
  • ポリグラフ:日本光電、LEG-1000

8. 夢(将来作りたいもの)

 一般に福祉機器と呼ばれるものは、ある障害を補助するために特化しています。そのため、他の障害をお持ちのかたや障害のない人には使いにくい(あるいは使えない)ものとなります。その結果、大量生産ができず、高価なものとなります。高価なため、機器が対象としている障害者にも使ってもらえないことになります。そこで、福祉機器のコアの部分を共通にして、インタフェースの部分を障害に応じて選べるようなオプション設定にします。そして、障害のない人でも使えるようなオプションを考えます。そうすることで、大量生産ができ、安価な福祉機器ができるのではないでしょうか。「共用品」の考え方をアレンジしたものです。このように、障害者しか使えないような福祉機器ではなく、障害の有無にかかわらず誰にでも使え、誰にとっても便利な機器を作りたいと思っています。

(文責:和田親宗)

PAGE TOP